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アメリカアメリカ/USA

アメリカワイン


「日本はサムライとチョンマゲの国」
「喫茶店は不良の行くところ」
「甲子園に行きたいなら、うさぎ跳びだ!」
「フランスワインだけが素晴らしい」

物事のイメージや考え方は変化してゆきます。たいていは時代と共に変わるものが多いでしょう。しかし一日にして世界中の考えを覆す出来事が、アメリカワインに起こったのです。

世界を変えたカリフォルニアワイン

1970年代当時「美味しいワインはヨーロッパでしか作ることが出来ない」というのが当たり前の考えでした。その時代にパリで行われたブラインドテイスティング大会(銘柄を隠して行われるテイスティング)において、最高級のフランスワインを押さえて無名のカリフォルニアワインが優勝してしまったのです。しかも審査員は皆フランス人の著名ワインテイスターでした。これはワイン界の「奇跡」であり「事件」でもありました。この「パリスの審判」と呼ばれる出来事によって世界の固定観念が覆され、カリフォルニアのワインが注目され始めることとなります。そして、ニューワールド(ヨーロッパ以外のワイン新興国)の生産者に勇気と希望を与え、時代を切り開いたのです。

しかしその華々しい出来事で世界を変えるまでに、数々の試練がありました。19世紀後半にはブドウの病害によってアメリカのワイナリーが大きな被害を受け、その後には「禁酒法」が憲法で制定されたことを受けて生産者たちは廃業し、さらには第二次世界大戦を経てワイン産業は衰退の一途をたどります。しかし、アメリカの生産者たちは再び立ち上がり、新たにワイン造りにチャレンジしてきました。

アメリカのワインはその約90%がカリフォルニア州で生産されており、これまで「アメリカワイン」と言えば「カリフォルニアワイン」を指すことが多かったのです。しかし、生産量は少ないですがワシントン州やニューヨーク州、オレゴン州などでも高品質なワインが作られるようになり注目されています。

どんな味わい?

ヨーロッパなどの涼しい産地のワインと比べると、アメリカは温暖で日照量が多く気候も安定しているため健康なブドウが出来るのです。そのブドウから造られたワインは、産地や生産者によりますが、概してアルコールが高めで果実味がジューシー、酸味はおだやかでリッチな味わいとなります。

また、生産されるワインは多種多様です。日本のスーパーや量販店などで見かける箱入りで注ぎ口が付いているタイプのものやペットボトル入りの気軽なワインから、「カルトワイン」と呼ばれる数万から数十万円するワイン愛好家がこぞって集めたいスーパープレミアムワインまでたくさんの種類があります。このようなカルトワインは、著名な批評家によって賞賛されオークションで高値になりブランドワインとなっています。

どうしてもアメリカワインというと、このようなカルトワインばかりがその希少性や値段の高さなどで話題をさらいますが、このようなワインはそうそう手に入るものではないし、もし手に入ったとしても、ここぞという勝負どころでえいやっと開けるようなワインになるでしょう。これではなかなかアメリカワインの良さを知る機会が訪れません。それではもったいないですね。

箱のお手軽ワインでもなく手に入らないスーパープレミアムワインでもない、魅力的なワインがアメリカにはたくさんあるのです。そしてその多様性が魅力の一つでもあります。

それでは多様なワインを生み出す産地を紹介します。

1) カリフォルニア州
アメリカワインの約90%を産出する地域で、太平洋側に南北に広がっています。まずカリフォルニアの中心産地で一番北のノースコーストには、世界を変えた「パリスの審判」で優勝したワインを生み出したナパ・ヴァレーや栽培の難しいピノ・ノワールなどで高品質なワインを生み出すソノマ・カウンティなどの最高級ワイン生産地域があります。また、その南に位置するセントラルコーストの地域では、霧などの影響を受ける海岸地域と、内陸の温暖で乾燥した地域など気候がさまざまですので、個性豊かな魅力のワインを生産しています。ナパやソノマの最高級ワインが世界から注目されている中で、セントラルコーストのものは価格は抑え目でしかも質も高いので、ここは外せません。

2) オレゴン州
オレゴン州で生産されているワインはアメリカワインの約1%のみです。
しかし、オレゴン州の特徴は、品質管理が全米一厳しく、ラベルの品種表示など法律によって細かく規定されています。比較的涼しい気候で、白ワインを造るピノ・グリやシャルドネ、赤のピノ・ノワールが州の代表品種です。小規模な生産者が多く、土地の個性がワインにしっかり表わされた高品質なワインを生み出します。

3) ワシントン州
こちらも生産量としてはアメリカの約4%のみですが、雨が少なく日照量が多いのでとても健康なブドウが出来る産地で、主にシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています。特にワシントンのカベルネは、アメリカならではのたっぷり熟した果実味と、ボルドーワインのようなエレガントさを両方兼ね備えており、年々その品質の高まりに目が離せません。

4) ニューヨーク州
ニューヨーク州では厳しい冬と蒸し暑い夏のために、ワイン用のブドウ栽培には適していないと信じられていて、長い間食用ブドウが広く栽培されていました。しかし70年代からワイン用のブドウを造る生産者が現れ、徐々にワイナリー数が増え始めました。ほとんどが小規模生産者によるもので、国内消費されるため日本ではあまり見かけませんが、その個性的な魅力が注目され始め、今後海外に輸出されることが増えるでしょう。


アメリカのワインは気候も産地も多種多様で、同じ品種でも生産者によって違う味わいであったり、その個性の豊かさが魅力です。また味の流行に敏感で、造りを年によって変えたりと、その変化を楽しむこともできます。逆境の時代から立ち上がり、高品質なワイン造りへチャレンジし続けるアメリカワイン、新たにチャレンジするような気持ちで是非楽しんでみてはいかがでしょうか。
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